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50個の話題を用意した顔合わせで、僕が返せたのは一言だけ

コラム

書き足した話題は50を超えていました。

それなのに、彼女のお父さんの前で、僕の口から出るのは単語ばかりでした。顔合わせの前夜、書きかけの話題リストに、また新しい番号を書き足していました。

1枚のメモは、内ポケットで眠ったままでした

彼女の父が元・警察官だと聞いたのは、顔合わせの1週間前でした。それから僕は、仕事帰りの喫茶店で、話題のリストを書き足し続けました。仕事、趣味、地元、料理、週末の過ごし方。番号を振っていくと、50を超えていました。当日、僕は1枚のメモを折りたたんで内ポケットに入れ、ホテルの個室に入りました。

口から出るのは、単語だけでした

彼女の父から「お仕事は、どういった系ですか」と聞かれ、僕は「システム開発の会社に勤めています」と答えました。用意した仕事の話題は5番まで書いてあったのに、次の言葉が続きません。彼女のお母さんが「休みの日は、料理はされますか」と話を振ってくれたときも、「たまに、簡単なものを」と返すのが精一杯でした。質問が来るたび、頭の中で用意した文章をふるいにかけていたのです。退屈じゃない話を、お父さんに認められる趣味を。ふるいを通ると、返事となる単語しか残りませんでした。

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