木製の調味料入れを動かし続けた私が、掃除のふりをやめた夜

コラム

強い声

その夜、リビングでお茶を入れていた私の前に、彼女が入れ物を持ったまま立ちました。

「私の物、勝手に動かさないで」

いつもより強い声でした。ごまかす言い訳を探す間もなく、私は下を向いて、「コンロの横だけは、どうしても置けないの」と口にしていました。実家の台所のことを順番もばらばらのまま話して、最後にようやく言えました。

「ごめん。細かい人だと思われるのが怖くて、ちゃんと言えばよかった」

彼女は問い詰める口調を途中でやめて、私の向かいの椅子に腰を下ろし、終わりまで聞いてくれました。

そして...

今は、彼女の入れ物は腰の高さの棚にあって、コンロの横には何も置いていません。動かしたくなったら、先に声をかけると決めています。頼み事を口にする方が、掃除のふりを続けるよりずっと楽なのだと、今の私は知っています。

(20代女性・看護師)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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