
「その化粧、濃くない?」彼からの一言を、私は2度読み返した
コラム
カフェで彼が口にしたのは、「前に、洗面所で頬を気にしてたでしょ」という一言でした。隠していたつもりのものに、彼は気づいていました。
デート前に送った自撮りへの返信は、日付でも場所でもなく、化粧についての一言でした。
返ってきた一言
彼とは付き合って1年になります。アパレルの販売員をしている私は、その日、店の研修で習ったフルメイクのまま、待ち合わせの確認と一緒に自撮りを送りました。新作のリップも、先輩に勧められたハイライトも、その日のメイクのために選んだものでした。
すぐに既読がつき、届いたのは「その化粧、濃くない?」という短いメッセージでした。似合っているかどうかではなく、濃いかどうか。画面の文字を2度読み返してから、私は「似合ってないってこと?」とだけ返しました。
それきり、私のメッセージには既読だけがついて、彼からの返信は止まりました。
隠していた理由
化粧を濃くしたのには理由がありました。頬に出た肌荒れを隠すため、先輩に教わったカバーの手順を増やしていたのです。売り場に立つ以上、肌のことをお客様に見せたくありませんでした。
鏡の前で手順を増やすたび、荒れた頬が目立たなくなるのが、あの頃の私の安心でした。彼に相談しなかったのは、心配をかけたくなかったからです。それなのに、返ってきたのが化粧への指摘だったことが、何より応えました。
返信のない画面を閉じて、私はポーチの中身を1つずつ並べ直しました。増えたコスメの数だけ、隠してきたものがあるのだと思いました。
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カフェでの本音























