家賃のいらない彼女の祖父母の部屋に、別れたあとも住めると思った俺が合鍵を返すまで

コラム

彼女から同棲の解消を告げられたとき、最初に考えたのは、駅から近い部屋を失うことでした。彼女の家族が玄関にそろった日、自分に残る権利などなかったと認めることになります。

合鍵をテーブルへ置いたとき、俺は初めて、別れたあとまで住み続けられる部屋ではなかったと理解しました。

家賃のかからない暮らし

彼女の祖父母が所有するマンションで、同棲を始めました。家賃はいらないと聞いたときは、毎月の負担が減ることを素直に喜びました。

生活費は彼女と半分ずつ出し、最初は家事も分担していました。けれど、何度か当番を忘れても、彼女は代わりに片づけてくれました。

仕事で疲れている。生活費は出している。明日やればいい。そうやって理由をつけ、家事を後回しにする日が増えました。

彼女が何も言わないことを、困っていない証拠だと受け取っていました。実際には、言われないことを利用していただけだったと思います。

買わなかったスポーツドリンク

彼女が発熱して寝込んだ日、「スポーツドリンクだけ買ってきてほしい」と頼まれました。

俺は「わかった」と答えましたが、結局、買いに行きませんでした。

忘れていたわけではありません。外へ出るのが面倒で、寝ていれば治るだろうと勝手に判断しました。リビングで動画を見ながら、寝室から彼女が出てきたことにも気づいていました。

それでも、俺は声をかけませんでした。

翌日になっても彼女は何も言わず、その後は頼み事をしなくなりました。俺は関係が悪くなっているとは考えず、何も言われない暮らしに慣れていきました。

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