
「席替われよ」と常連客に凄まれた新人の私→焼き場の大将が返した言葉
コラム
焼き場から届いた言葉
そのとき、焼き場から声がしました。「席は、うちが決めます」顔を上げると、大将が串を置き、常連のお客さんを見ていました。
「先に座ってるお客さんを動かすことはしません」
常連のお客さんは何も言わず、大将を見返しました。しばらくして小さく舌打ちをすると、端の席へ腰を下ろします。
「……いつもの」
さっきまでより小さな声で注文しました。
大将は「はいよ」とだけ返し、また焼き台へ向きました。
私はようやく次のお客さんのところへ動きました。ほっとしたのと同時に、また同じことが起きたら、自分はどう案内すればいいのだろうとも考えました。
そして...
閉店後、大将は厚紙に、「お席はスタッフがご案内します」と書き、カウンターの見える場所に置きました。
私にも、「困ったら、客を動かす前に俺を呼べ」と言いました。
それから私は、満席のときの案内を自分でも言えるようにしました。
「申し訳ありません。空いているお席へ順番にご案内しています」
常連だからといって、先に座っている人を移動させる必要はない。そのことを分かったうえで案内できるようになっただけでも、以前とは違います。
あの日の常連のお客さんは、今も店に来ます。いつもの席が空いていない日もありますが、もう誰かを立たせるよう求めることはありません。
(20代女性・飲食店スタッフ)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)

























