
「捨てるのも金がかかるだろ」元カノと買ったソファを使い続けた俺が、ゴミ袋の底で見つけたもの
コラム
友人が寄ったのは、俺が座らない側でした
友人が部屋に来て、ソファの真ん中に座りました。彼女はいつもどおりラグに腰を下ろし、麦茶を注いでいます。しばらくして、友人が左側へ少し寄りながら「この辺、なんか甘い匂いするな」と言いました。彼女は氷の音だけ立てて黙っています。続けて「彼女さん、そこ座らないの?」と聞かれると、彼女は「床のほうが好きなので」と答えました。やっぱり好みの問題だと、俺は納得しています。友人が帰ったあと、ゴミをまとめていた俺の手に、軽い容器が当たりました。見覚えのない布用消臭スプレーで、ラベルには無香料と書いてあります。彼女が何かの匂いを消すために使っていたのだと、そこで初めて気づきました。友人が寄っていた左側へ顔を近づけると、かすかに甘い匂いがしました。
そして...
元カノと付き合っていたころ、左端に置いてあった香水のボトルを倒したことがあります。縫い目まで濡れて2人で拭きましたが、残った香りもそのうち気にしなくなっていました。俺がいつも座るのは右側です。毎日ここにいる鼻は反対側の匂いを拾わなくなっていたのでした。彼女は何度もソファの話を出していたのに、俺はそのたびに、まだ使えるとか洗剤じゃないかとか、自分に分かる話へ置き換えていました。翌日、引き取りを申し込み、2000円は俺が払いました。新しいソファは彼女と選びました。謝ったのは元カノとのソファを使っていたことではなく、何度も出ていた合図を、都合のいい話に変えて聞いていたことです。今は、彼女と2人でソファに座っています。
(20代男性・システムエンジニア)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
























