私が床に座り続けた3カ月。「そろそろ買い替えない?」は値段の話ではありません

コラム

「床のほうが好きなので」と、私は答えました

その日は彼の友人が来て、ソファの中央に座りました。私は麦茶を注ぎ、いつものようにラグへ腰を下ろします。やがて友人がソファの左寄りへ体をずらし、「この辺、なんか甘い匂いするな」とこぼします。気にしすぎていたのは私だけではないのだと、そこで初めて思います。続けて「彼女さん、そこ座らないの?」と向けられ、私は「床のほうが好きなので」と答えました。声に出した瞬間、自分で理由をすり替えたと分かります。彼の友人の前で、前の彼女の香りが気になるとは言えませんでした。しかしその日、彼はゴミをまとめる途中で空の消臭スプレーの容器に気づいたようでした。空のスプレーを片手に友人が指摘したあたりに鼻を寄せています。

そして...

そこで聞かされたのは、前の彼女と暮らしていたころ、その場所に香水をこぼしたという話です。縫い目まで染みたので当時2人で拭き取ったものの、カバーは一度も洗っていないそうです。普段は右側に座るうえ、暮らすうちに匂いのこと自体を忘れていたと言います。消えない香りの正体を、私はそこでやっと知りました。次の日には回収の手配を済ませたと聞かされます。あの香りが気になって座れなかったのだと、私も初めて伝えました。察してくれなかったと彼を責める資格は、私にはありません。何度も話を持ち出しながら、肝心の理由だけは最後まで隠していたからです。新しいソファでは、右端が私の場所になりました。今は、言いにくいことほど理由から先に伝えるようにしています。

(20代女性・医療事務)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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