眠っている間に届く夫の長文は、毎回「いってきます」で終わっていました

コラム

枕元で光った画面には、指で何度も送らないと終わりまで読めない長さの文が並んでいました。

返事はいつも1行で、私は聞くことをずっと先延ばしにしていました。ためこんだ問いをようやく口にしたのは、休みの日に見つけた夫の格好が、答えそのものだったからです。

届くのは、いつも同じころでした

夫の勤務が早い時間の担当に替わって、3か月になります。私が家を出るころには夫はもう職場にいて、私が帰るころには先に寝ていました。

それが届くようになったのは、私が「最近、あんまり話してないね」と言ってからです。顔を見て話せるのは、休みが重なる日だけでした。届くのは決まって深夜で、私はいつも眠っていました。書いてあるのは、職場で使う機械が替わった話や、次の休みに行きたい店のこと。どれも重い話ではないのに、終わりの1行だけが毎回同じでした。「いってきます」。これから眠る人が書く言葉ではないはずでした。

短い返事しか送れませんでした

目を覚まして画面を開くと、文はいつもそこで止まったままでした。この長さに見合う言葉が見つからず、送るのは「おつかれさま」の1行だけでした。

眠らずに書いているのだと思っていました。仕事で何かあったのか、私に言えないことを抱えているのか。想像だけが増えていきましたが、聞けば夫が黙っておいた理由まで壊してしまう気がして、何日も迷いました。

それでも抱えきれずに、「何かあった?無理してない?」とだけ送りました。返ってきたのは、「何もないよ」の1行だけ。その次の日から、届く文はさらに長くなりました。

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