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十年ぶりに娘へ「今さら関わってこないでよ」と言われた日。それでも、顔が見られればそれでよかった

コラム

「元気そうで良かった」

しばらくして「元気そうで良かった」と言った。それが本心だった。それだけで十分だと思っていた。

病気のことは話さなかった。話せば娘は罪悪感を持つ。「会いに来るんじゃなかった」と思わせたくなかった。アパートまで一緒に歩き、玄関先で別れた。娘はほとんど振り返らずに歩いていった。胸の奥がきゅっとなったが、それでよかった。来てくれた。顔が見られた。

そして…

アパートに戻ってから、テーブルの封筒に気づいた。片づけるつもりが、すっかり忘れていた。帰り際、娘がドアの隙間から室内を見た気配があった。もしかしたら、気づいたかもしれない。

それでも、俺から連絡するつもりはない。ただ、娘の方から何か来たとき、そのときは正直に話そうと思っている。来なくても構わない。あの日、「元気そうで良かった」と伝えられた。それが、俺にとって最後の親らしい仕事だったのかもしれない。

(50代男性・製造業)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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