おしゃれと恋で もっとかわいく - ハウコレ
SP用検索ボタン
メニューはこちら

俺が一番に駆け込んだのは、「楽でいいよね」と笑った相手の席だった

コラム

あの席に走った俺

気づけば、事務のフロアに向かって歩いていました。彼女の席の前に立ち、「バックアップから戻せないか?」と頭を下げました。「やってみます」。彼女は一瞬だけこちらを見て、すぐに画面に向き直りました。その横顔に、普段俺が見ていなかったものが全部詰まっている気がしました。

3時間、彼女は休憩も取らずに作業を続けていました。俺は途中で何度か「まだかかる?」と声をかけてしまい、そのたびに自分の無力さを思い知りました。

そして...

夕方、データが戻ったとき、「助かった。本当にありがとう」と伝えました。彼女は小さくうなずいただけで、すぐに自分の作業に戻っていきました。その背中を見て、ようやく気づいたのです。俺は彼女たちの仕事を「楽」だと思っていたんじゃない。「見ていなかった」のだと。

あの日から、俺は事務のフロアを通るたびに少しだけ足を止めるようになりました。ただ、あのランチの日に言った一言を撤回する勇気は、まだ出せずにいます。楽な仕事なんてないと、今ならわかっているのに。

(30代男性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

  • X
  • Line