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あの地味なお弁当箱の中に詰まっていた愛情の重さを、私は何も知らなかった

コラム

SNSに載せたキャラ弁の写真に「いいね」がつくたびに、私はほっとしていました。この手間をかけている限り、自分はちゃんとした母親でいられると思えたからです。

キャラ弁という証明

毎朝4時に起きて、キャラ弁を作ります。くまの顔をかたどったおにぎり、チーズで作った星、薄焼き卵のリボン。正直しんどい朝もあります。でもやめられませんでした。

私の母は弁当を一度も作ってくれませんでした。遠足の日も、運動会の日も、コンビニのおにぎりが紙袋に入っているだけ。周りの子の色とりどりのお弁当を横目に、隅でそれを食べていた記憶が引っかかっています。だから自分の子どもには絶対に同じ思いをさせたくなかった。キャラ弁は、私が「あの頃の母とは違う」と証明するためのものだったのです。

あの人に重ねた母の影

園にいつもシンプルなお弁当を作っているママがいました。私はその人を見るたびに、自分の母を重ねていたのだと思います。

「やっぱりキャラ弁にすると子どもの食べっぷりが全然違うんだよね」。周囲に聞こえるように言いました。そしてある日、つい口をついて出たのが「キャラ弁作らないなんて愛情不足だよ」。彼女は少しだけ目を伏せて「うちはうちの事情があるので」と答えました。「そういうの関係なくない?手間をかけるかどうかでしょ」。そう返しながら、自分の声がどこか震えていたことに気づいていました。

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廊下で聞こえた声
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