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「子連れは迷惑でしょ」が聞こえた瞬間、私が母子の隣に立つと決めた理由

コラム

西洋画展の会場で耳に入ってきた、刺すような一言。「子連れは迷惑でしょ」。声のするほうへ目をやった私には、あの親子のもとへ向かうしかない思いました。

私は地方都市の美術館で学芸員をしている40代の女性です。西洋画の特別展を担当して半年、平日の午後はいつも穏やかな時間が流れる館内で、その日も私は展示室を巡回していました。けれど、第2展示室から聞こえた一言に、私はある行動をしたのです。

平日の午後の展示室

私が担当している特別展は、子どもにも気軽に来てほしいという思いもこめて企画したものでした。来館者の年齢は幅広く、平日の午後には未就学児を連れたお母さんの姿もちらほら見かけます。音声ガイドの読み上げ速度を遅くしたり、解説パネルのフリガナを増やしたり。小さな工夫を重ねてきた展示でした。

その日も巡回しながら、母娘の姿が目に入りました。娘さんは絵に向かって何度も指を差しては、お母さんに小さな声で話しかけていました。微笑ましい光景でした。

「子連れは迷惑でしょ」が聞こえた瞬間

第2展示室に入ろうとしたとき、低い声が耳に届きました。 「子連れは迷惑でしょ」 40代くらいの女性が、お母さんに向かって言った言葉でした。お母さんが「すみません」と頭を下げる声が、続けて聞こえました。私は手にしていたタブレットを脇に挟み、迷わずその親子のほうへ歩み寄りました。

「どの絵が一番気になりましたか?」 母娘の隣に立ち、できるだけ柔らかな声で、けれどはっきりと話しかけました。発言した女性は、私のほうを一瞥すると、何も言わずに別の展示室へ歩いていきました。

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