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「子連れは迷惑でしょ」が聞こえた瞬間、私が母子の隣に立つと決めた理由

コラム

かつて、私も同じ言葉を投げられた

こうしているのには、理由がありました。5年前、まだ息子が3歳だったころ、私は別の街の美術館で同じ言葉を投げかけられたことがあったのです。あのとき、誰も助けてくれませんでした。私は息子の手を引いて、そそくさとその館を出ました。帰り道、息子に「ぼくがわるかったの?」と聞かれて、なんと答えていいかわからなかった夜のことを、私はずっと覚えています。 それから、同時に学芸員として仕事をしている自分は、どうあるべきなのかという疑問にずっと引っかかっていました。

そして...

あの日、娘さんが私に「お姉さん、絵にも家族がいるの?」と聞いてくれました。「いるんですよ。この絵を描いた人にも、お母さんがいたんです」と答えると、娘さんはふんわりと笑いました。出口でお母さんに「またいつでもいらしてくださいね」と声をかけたとき、お母さんが少し涙ぐんだ表情でうなずいてくれたのを、覚えています。 あの場で間に入ることが正解だったかは、いまもわかりません。けれど、5年前の自分が一番ほしかったのは、隣に立ってくれる誰か、ただそれだけだったのです。だから私は、今日もまた展示室を歩きます。次に来てくれる親子のためにも。

(40代女性・学芸員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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