
「洗濯物の干し方が下品」と隣家にクレーム→玄関先で頭を下げる隣人を見て、自分が恥ずかしくなった話
コラム
玄関の奥に見えたもの
奥さんが頭を下げ続ける肩越しに、廊下の奥のリビングが目に入りました。介護用のベッドが置かれていて、白髪のお母様が眠っていたのです。
玄関の脇には、たたんだ介護用のタオルやパジャマがいくつか積まれていて、洗濯物の量の理由が、見るだけでわかってしまいました。
「洗濯物が多くてすみません。母を引き取ったばかりで、まだ干す場所のやりくりがついていなくて」
奥さんはそうこぼしました。下品でも嫌がらせでもなかった。二階から眺めて苛立っていたものは、誰かが必死に守っている日常そのものだったのです。
そして...
家に帰ってからも、玄関先で頭を下げ続ける奥さんの姿が頭から離れませんでした。書面に「下品」と記した自分の言葉が、何度も思い返されます。
翌朝、私の方からインターホンを押しました。出てきた奥さんに「何か困ったことがあれば声をかけてください」と伝えました。奥さんは少し驚いたような表情を浮かべたあと、「ありがとうございます。本当に助かります」と頭を下げました。
景観を守っているつもりで、私はただ自分の視界だけを守っていたのかもしれません。あの日から、私たちの会話は天気の話で始まり、洗濯物を取り込むタイミングのことまで広がっていきました。
(40代女性・専業主婦)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)


























