
「洗濯物の干し方が下品」と隣家にクレーム→玄関先で頭を下げる隣人を見て、自分が恥ずかしくなった話
コラム
景観を守るつもりで自治会に書面を出した私が、玄関先で知ったのは、想像とはかけ離れた事情でした。地域の美しさを守る正義のつもりだった行動が、いかに浅かったかを思い知らされた数日間の出来事です。
「景観を損ねる」と書いた苦情書
事の発端は、隣家のベランダや庭に干される洗濯物の量が、ある時期から急に増えたことでした。タオルやシーツ、大人用のパジャマや下着までもが何枚も並び、強い日差しの下で目に飛び込んできます。
二階の窓から外を眺めるたびに、整えた庭の景色が台無しになっている気がして、私の苛立ちは日に日に膨らんでいきました。あいさつ程度の付き合いしかない隣人に直接伝えるのは気が引けて、自治会長に書面で苦情を出すことにしたのです。
「洗濯物の干し方が下品で、景観を損ねている」。書きながら、地域の美しさを守るためにきちんと声を上げているのだと、不思議な達成感さえ覚えていました。
自治会長と立った玄関先
苦情を出した翌週、自治会長から「ご一緒に伺ったほうがいいかと」と声をかけられました。夕方、玄関先まで案内されながら、内心では「ようやく分かってもらえる」と少し誇らしい気持ちでいたのです。
インターホンを押すと、エプロン姿の奥さんが出てきました。自治会長は柔らかい口調で「ご近所から、洗濯物が景観を損ねるとご相談がありまして」と切り出します。
奥さんの表情がこわばりました。深く頭を下げ、「申し訳ありません」と何度も繰り返したのです。想像していた態度とは違い、強い反論ではなくただひたすらの恐縮でした。
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玄関の奥に見えたもの
























