
嫁が席を立つまで、私は彼女の「苦手」をただのわがままだと思っていた
コラム
私は息子夫婦の帰省を毎年楽しみにしています。料理には昔から自信があり、毎回腕をふるってもてなしてきました。
お嫁さんに苦手な食材があるとは聞いていたものの、本気にはしていませんでした。けれどその夏、自慢の一皿が私の考えを大きく変えることになったのです。
自慢の手料理
息子夫婦が帰省するというので、私は朝から張り切って煮物と酢の物を仕込みました。彩りよくタコを散らし、自慢の出来栄えに満足していました。お嫁さんがタコを苦手にしていると夫から聞かされていましたが、私の世代では好き嫌いなど贅沢でしかありません。
きっと甘やかされて育っただけだろう、と勝手に決めつけていたのです。テーブルに料理を並べたとき、お嫁さんが心配そうな顔で「これ、タコ入っていますか?」と聞いてきました。私は「ええ、たっぷり入れたわよ」と笑顔で答えました。
「うちの料理は美味しいから」
お嫁さんが「すみません、私タコが苦手で……」と困った顔で切り出した瞬間、私は反射的に「嫁の好き嫌いなんて気のせいよ。少しくらいなら大丈夫」と言ってしまいました。
息子が「母さん、本当に食べられないんだよ」と小声で諭してきましたが、私は引きませんでした。「うちの料理は美味しいから食べなさい」と笑って取り皿を差し出します。せっかく作った料理を一口も食べてもらえないのが、寂しかったのかもしれません。今思えば、それは愛情ではなく押しつけだったのです。
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席を立った嫁


























