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「本は別にしておきたくて」素っ気なく答えた裏で、僕が彼女の本のためにこっそり用意していたもの

コラム

あの箱を別にしたのは、拒むためではありませんでした。彼女が大切にしてきた本たちのために、僕には先にしておきたいことがあったのです。素っ気ない態度の裏にあった、本当の気持ちでした。

別の箱に詰めた本

彼女と二人で暮らすために、荷物をまとめていました。食器や服はどんどん箱に入れていけるのに、彼女の本を見つけたとき、僕はそれだけは分けておこうと決めました。

彼女がどれだけ本を大切にしているか、僕はよく知っていました。前に部屋へ行ったとき、置き場所がなくて床に積み上がった本を、彼女が申し訳なさそうに片づけていたのを覚えています。

引っ越し先では、あの本にちゃんとした居場所を作ってあげたい。そう思って、ほかの荷物とは別の箱にまとめておくことにしたのです。

うまく言えなかった一言

作業をしていると、彼女が「これ、どうして別の箱にするの?」と聞いてきました。本当は、新しい部屋に棚を用意するつもりだと話せばよかったのです。

でも、まだ棚をきちんと整えられるか自信がなくて、それに照れくささもあって、僕は「本は別にしておきたくて」とだけ答えてしまいました。

言ったあとで、彼女の表情が少し曇ったのが分かりました。説明を続ければよかったのに、照れくささが邪魔をして、僕はそのまま手元の作業に戻ってしまいました。

昔から、思っていることを口にするのが苦手でした。気持ちは行動で示せばいいと、どこかで甘えていたのだと思います。

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