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「机だけにしよう」冷たく言った僕が、本当はその机を彼女のために選んでいた話

コラム

ソファを諦めて机だけを選んだのには、僕なりの理由がありました。それなのに僕は、肝心なことをひとことも伝えないまま、彼女を傷つけてしまったのです。あの曇った横顔を、今も思い出します。

本当はずっと前から

彼女が僕の部屋で過ごす時間が増えてから、ずっと気になっていたことがありました。彼女はいつもキッチンのテーブルで資格の勉強をしていて、書類を広げるたびに窮屈そうにしていたのです。自分の机があれば、もっと落ち着いて勉強できるはず。そう考えて、僕は窓際の一角を彼女の場所にしようと決めていました。荷物を片付けて、机をひとつ置けるだけのスペースをつくって。言葉で伝えるのが昔から苦手な僕にとって、それは精いっぱいの気持ちの伝え方のつもりでした。彼女に、ここにいてほしい。そう思っていたのです。

言えなかった理由

家具店では、まっすぐ机のコーナーへ向かいました。彼女が二人がけのソファを指さしたとき、僕は内心あせっていました。ソファまで買えば予算が足りなくなりますし、何より窓際のスペースに置けるのは机だけだと、前もって測っていたのです。それに、片付けた一角を見せて驚かせたいという気持ちもありました。だから僕は「それはいいかな。机だけにしよう」と短く返しました。彼女が「机だけでいいの?」と聞いてきても、「うん。それだけでいいよ」とそっけなく答えてしまったのです。彼女の表情が曇っていくのはわかっていました。それでも、あとで説明すればいいと自分に言い聞かせて、その場では何も明かしませんでした。

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