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彼が洗面台の棚で私の化粧品だけ奥にしまった。理由を聞けないまま、もやもやが募った話

コラム

洗面台の棚を開けて、私は手を止めました。いつも手前に並べていた私の化粧品が、ぜんぶ奥のほうへ押しやられていたのです。手前を陣取っていたのは、彼の整髪料と歯ブラシ。ただ位置が変わっただけと思おうとするほど、もやもやとした気持ちが離れてくれませんでした。

奥に押しやられた、私の居場所

彼の部屋で過ごす時間が増えて、洗面台にも私の化粧品が並ぶようになっていました。それが、私にとってはささやかな安心でした。ふたりの暮らしに、私の場所がちゃんとある。そう感じられたからです。けれどある日、棚の手前にあったはずの私のものは、彼の持ち物の後ろへきれいに移されていました。手を伸ばさないと取れない、奥の奥へ。まるで目につかないところへ片付けられてしまったみたいで、私はしばらくその棚を見つめていました。

聞きたいのに、聞けない

邪魔だったのかもしれない。私のものが増えるのが、煩わしかったのかもしれない。考え出すと、よくない想像ばかりが膨らんでいきました。彼はいつも穏やかで、私を急かすようなことはしない人です。だからこそ、言葉にしない不満をこういう形で示されたのではないか。そんなふうにも思えて、なかなか切り出せませんでした。鏡の前で化粧をするたび、奥から自分の化粧水を引っぱり出す。その動作のたびに、小さな引っかかりが積み重なっていきました。

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