
二人で選んだオリーブを隅に追いやった彼。気持ちが離れたのかと悩んだ私が、後から知った本当の理由
コラム
洗濯物を抱えてベランダに出ると、手すり際に置いていたはずのオリーブの鉢が見当たりませんでした。視線を巡らせると、それは壁際の隅にぽつんと移されていたのです。二人で選んだ、私たちにとって特別な鉢でした。このごろ会話が減っていた彼との距離が、その光景に重なって見えました。
隅に追いやられた鉢
同棲を始めるとき、二人で何軒もお店を回って、ようやく見つけたのがそのオリーブでした。日当たりのいい手すり際が定位置で、彼も私も、出かける前にそっと葉を見るのが習慣になっていたのです。それなのに今、鉢はエアコンの室外機の横、陽もろくに届かない隅へ追いやられていました。よく見ると葉のふちが茶色く乾き、何枚か落ちてしまっています。世話を彼に任せきりにしていた自分にも気づいて、後ろめたさが込み上げました。それでも、大切なはずの鉢をこんな場所に移した彼の気持ちが、どうしてもわかりませんでした。
そっけない返事
仕事から帰ってパソコンに向かう彼の背中に、私は思いきって尋ねました。「あのオリーブ、どうして隅に動かしたの?」。彼は画面から目を離さないまま、「ああ、あっちのほうがいいと思って」とだけ返しました。それ以上の説明はありません。私はそのまま部屋に戻り、洗い物を片づけるふりをしました。あっちのほうがいい。その言葉が、まるで私との関係そのものを言われているようで、その後もずっと頭から離れませんでした。
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ベランダにいた彼の背中
























