
デート候補から毎回一軒だけ消していた僕。「悪いことじゃないから」と濁した本当のわけ
コラム
彼女を不安にさせていたと気づいたのは、面と向かって尋ねられたその時でした。毎回消していた一軒には、どうしても今は言えない理由があったのです。
スマホの画面に、お店の候補をいくつか並べました。彼女と出かける日のための、いつものやりとりです。けれど送った直後、僕はそのうちの一軒だけを取り消しました。もう何度も繰り返している、ひそかな手順でした。
送っては消す一軒
彼女と付き合って二年目になります。出かける予定を決めるとき、お店の候補を写真つきで何軒か送るのが、僕のいつものやり方でした。
ただ、その中に一軒だけ、送ってはすぐ取り消すお店があったのです。予約の取りにくい、少しあらたまったレストランでした。候補を並べていると、つい、そのお店も入れてしまう。けれど送信した直後に、やっぱり違う、と取り消す。それを毎回、繰り返していました。彼女に見えているのは、一軒が取り消されたという痕跡だけのはずだと、その時の僕は思い込んでいたのです。
取っておきたかった理由
そのレストランは、付き合って二年の記念日に、彼女を連れて行きたいと決めていた場所でした。なかなか予約が取れず、僕は少しずつ計画を進めているところだったのです。
だから、ふだんの何でもない外出で使ってしまいたくはありませんでした。特別な日のために取っておきたい。その一心で、候補に入れては消していたのです。正直に言えば、もうひとつ理由がありました。気軽にそういう店へ誘えるほど余裕があるわけではなく、毎回ためらってしまう自分が、少し恥ずかしかったのです。
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気づいていなかったこと
























