おしゃれと恋で もっとかわいく - ハウコレ
SP用検索ボタン
メニューはこちら

「彼女の荷物は少なめなので」引っ越しの見積もりで彼がそう告げた日、私は黙ってうなずきました

コラム

荷物の量が映していたもの

その日から、彼の一言が頭から離れませんでした。少なめと申告すれば、確かに費用は抑えられます。でも私が引っかかっていたのは、お金のことではありませんでした。私の荷物は、私がこれまで生きてきた時間そのものです。それを彼は、業者の前で「少なめ」と言い切りました。まるで、私の存在を小さくまとめてしまいたいかのように。

二人で暮らす部屋のはずなのに、私はお邪魔する側になってしまったのでしょうか。問いただしたい気持ちはあるのに、言葉にすると重く響いてしまいそうで、私はうなずくふりを続けていました。

そして...

引っ越しの準備は、それからも淡々と進んでいきました。彼は相変わらず優しくて、家具を選ぶときも私の意見をいちばんに聞いてくれます。だからこそ、あの一言だけが小さなとげのように残っているのです。

ある夜、私は段ボールに自分の名前を書いていました。本をまとめた箱は、持ち上げるのもやっとなほど重くなっています。きっとこれが、いちばん運びにくい荷物になるでしょう。それでも、ひとつも置いていくつもりはありません。荷物が多くても少なくても、私が私であることは変わらないのですから。きっと彼にも、言えなかった事情があったのかもしれない。そう思えた今なら、ちゃんと向き合える気がします。

引っ越しの日を待つのではなく、その前に自分の気持ちを言葉にしようと決めました。少なめだなんて言わせない。私の荷物も、私の時間も、まるごと二人の暮らしに連れていくのだと、いちばん重い箱に、いちばん大きく名前を書きました。

(20代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

HOT ITEM
  • X
  • Line