
「深い意味はないよ」と言ったのは嘘です。彼女のグラスだけ遅らせた、本当の理由
コラム
本当の理由を、言えなかった
少しして、彼女が僕のそばに来て聞いてきました。
「私のグラスだけ、なんで後だったの?」
その声が硬いことに、僕はすぐに気づきました。正直に話せばよかったのだと思います。でも、君がお酒を飲めないのを覚えていたから、なんて言えば、ふだんから君のことばかり見ている、と打ち明けるようなものでした。
それが恥ずかしくて、僕は「深い意味はないよ」と、心にもないことを口にしてしまったのです。彼女の表情がくもったのを見て、自分の臆病さを悔やみました。
そして...
あのあと、自分の席に戻っていく彼女の背中を、僕は黙って見送りました。気をつかわせたくない、その一心だったのに、いちばん気にかけたかった人を、結局いちばん寂しい気持ちにさせてしまったのです。
たった一杯のグラスにこめた気持ちを、僕は言葉にする勇気がありませんでした。それでも、このまま黙っているのは違うと思います。
次に会えたら、あのときの本当の理由を、今度はきちんと自分の口で伝えたい。「深い意味はないよ」なんて嘘は、もう二度と言わないと決めました。
(20代男性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)


























