
彼女の発言だけ議事録から消していた僕が、最後まで言えなかった理由
コラム
彼女の発言だけを、議事録から外し続けていました。守るためだと信じていた行いが、本当は何だったのか。問い詰められて、僕は初めて立ち止まったのです。
会議のあと、議事録をまとめながら、僕はある一行の上でカーソルを止めました。彼女が口にした意見が、画面にそのまま残っています。少し迷ってから、その部分を選んで、消しました。
彼女が、まっすぐ手を挙げた
その日の会議で、彼女が思いきって手を挙げたのが分かりました。
「このスケジュールだと、現場が回らなくなります」
はっきりとした声でした。正しい指摘だと、僕も思いました。けれど同じ会議には、人の意見を正面から退け、あとから自分の手柄にしてしまう先輩がいました。
以前、彼女の提案がその人にいいように使われ、彼女だけが評価を落とした場面を、僕は見ています。記録を取りながら、僕の頭をよぎったのは、また同じことが起きるかもしれない、という不安でした。
彼女の名前を、残せなかった
だから僕は、彼女の発言を、議事録からそのまま外すことにしました。彼女の名前で記録が残れば、あの先輩の目に留まってしまう。そう考えたのです。
代わりに、似た指摘を僕自身の言葉として別の機会に持ち出し、彼女が矢面に立たずに済むようにしようと思っていました。
今思えば、それは独りよがりな判断でした。彼女に一言も相談せず、彼女の言葉を勝手に間引いていたのですから。守っているつもりで、僕は彼女から発言の場を奪っていたのかもしれません。
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問い詰められた日のこと

























