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「荷物、ここに預けていこう」と彼が私のトートだけをロッカーに入れて心細くなった話

コラム

改札を出てすぐ、彼がコインロッカーの前で足を止めました。私のトートバッグを手に取ると、そのまま空いた扉の中へ入れてしまいます。自分のリュックは背負ったままです。同じように荷物を預けるのだと思っていたのに、扉に入れたのは私のバッグだけでした。

私の荷物だけが、ロッカーの中へ

「荷物、ここに預けていこう」

彼はそう言って、私のトートを奥へ押し込みました。「私のだけ?」と聞き返すと、彼は「うん、そのほうがいいから」とだけ答えて、もう歩き出しています。

理由は教えてくれません。空になった私の手と、ふくらんだままの彼のリュックを見比べて、置いていかれたような心地になりました。

はぐれないように歩く彼の、半歩先

長い坂を登る間、彼は半歩先を歩きました。振り返ってこちらを確かめるのに、何を考えているのかは言いません。雑貨店をのぞいても、私の手元ばかりを気にしている様子です。

荷物を持たされるのが嫌だったのか、それとも私の物がそんなに邪魔だったのか。聞きたいのに、機嫌をうかがう自分が情けなくて、私は当たり障りのない相づちを続けました。

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