
彼女に内緒で冊子を作った俺が、自分のページに一行だけ残した理由
コラム
彼女の誕生日の前に、俺は連絡先を片っ端から開いていました。俺が連絡先を知っている範囲で学生時代の友人、職場の先輩、それから彼女の妹。一人ずつ、メッセージを書いてほしいと頼んでいったのです。集めるのに夢中で、自分が何を書くかなんて、そのときは考えてもいませんでした。
頭を下げて、言葉を集めて回った
普段は連絡を取らない相手にまで、突然の頼みを送りました。急なお願いに戸惑いながらも、みんな引き受けてくれたのです。集まったページには、俺の知らない彼女の時間が詰まっていました。友人との旅行、新人だったころの失敗談、妹が便箋に書いた長い手紙。読みながら、彼女がどれだけ大事にされてきたかを、俺は改めて知りました。
最後に残った、自分の一枚
全部のページを綴じ終えて、最後に残ったのが自分の一枚でした。ペンを持っても、何を書いてもみんなの言葉の隣では薄く見える気がして、なかなか進みません。この一冊を作ったことが、いちばん伝えたいことのはずだ。そう言い聞かせて、俺は余白の真ん中に一行だけ書きました。「言葉にするの、苦手でごめん」。嘘ではない、いちばん正直な一行のつもりでした。
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「これだけ?」に、うまく答えられなかった
























