
「鍵はまだ渡せないんだ」彼にそう言われた私が、そのまま引っ越しの日を迎えた話
コラム
引っ越しの日に差し出された鍵
その後、私は鍵のことを口にしませんでした。彼も触れないまま、引っ越しの日を迎えました。
荷物を運び込む合間に、彼が「これ」と手を出しました。そこにあったのは、革のキーホルダーがついた鍵でした。革には、付き合った日付が小さく入っていました。
彼は「やっと渡せるよ」と言いました。キーホルダーが出来上がるのを待っていたのだと、そのとき知りました。私を喜ばせるためだったことは分かりました。でも、それまで私が抱えていた不安まで消えるわけではありませんでした。
そして...
新しい部屋で、私はその鍵を何度も見ました。記念日を入れてくれたことはうれしいです。けれど、最初に理由を話してくれていたら、私は新居の玄関であんな気持ちにならずに済んだと思います。
サプライズは、受け取るまでの時間も含めて相手に渡るものです。彼の準備が優しさだったとしても、知らされない側には別の意味に見えることがあります。
今は、鍵を自分のバッグに入れています。ようやくこの部屋に入る理由を自分で持てた気がします。次に大事なことを決めるときは、演出より先に、2人で安心できる言葉を交わしたいです。
(20代女性・会社員)
本人記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)


























