
俺がガイドブックを手放せなかった理由を、彼女はあのとき知らなかった
コラム
彼女との初めての旅行で、俺はガイドブックばかり見ていました。景色を楽しむより、祖父が残したメモの場所をどう回るかで頭がいっぱいでした。彼女に話せばよかったのに、うまく切り出せないまま、旅先で彼女を何度も1人にしていました。
俺がここに来たかった理由
彼女と旅行に行く話が出たとき、行き先は俺から提案しました。少し前、亡くなった祖父の遺品を整理していたとき、古いメモが出てきたからです。
几帳面な字で、いつか行きたい場所の名前がいくつか並んでいました。その中に、今回の旅先の地名がありました。祖父が行けなかった場所を、自分が見てこようと思いました。
彼女を誘ったのは、1人で行くより2人のほうがいいと思ったからです。けれど、祖父の話を最初からすることはできませんでした。湿っぽく聞こえそうで、旅行の空気を重くしたくありませんでした。
展望台で見ていたページ
展望台に着いて、俺はすぐガイドブックを開きました。祖父のメモにあった場所を、限られた時間でどう回れるか確認したかったのです。
彼女が「せっかくだから景色を見ようよ」と言いました。俺は「うん、あとでね」と返しました。景色を見る気がなかったわけではありません。でも、先に予定を把握しないと落ち着きませんでした。
気づくと、彼女は柵のそばにいました。遠くの山を見ている彼女を見ながら、俺はまたページへ目を戻しました。後で一緒に見ればいいと考えていましたが、その時点で彼女を1人にしていました。
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「また見てる」という声

























