
先輩の大荷物を笑った私が、真夏に受け取ったもの
コラム
女子力の中身
商談を終えた帰り道、私は「先輩、女子力とか言ってすみませんでした」と口にしました。先輩は歩調をゆるめずに「私も最初は何も持ってなかったから」と答えました。最初の外回りで資料を汗でふやけさせて、取引先の前で焦った経験があるのだと話してくれました。バッグに詰まっていた予備は、先輩の見た目のためではなく、同行する誰かが困った時のためのものだったのです。私が「女子力」と呼んでいたものは、失敗して覚えた仕事道具の別名にすぎませんでした。オフィスに戻って同僚に「どうだった?」と聞かれても、私は「暑かったです」とだけ返しました。隣で先輩が「次は涼しいうちにしましょう」と呟いていました。
そして...
次の日、私のバッグには冷感シートと折りたたみ日傘が1つずつ入っていました。出社してすぐ、先輩に「今日は完全防備ですね」と声をかけられて、私は少し照れながら「はい。念のためです」と返しました。誰かに「女子力高いですねー」と言われたら、その時にまた念のためですと返せばいい。そう決めた自分の返事が、思ったよりまっすぐに聞こえたのが、少しだけ意外でした。
(20代女性・営業職)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
























