
1年前に彼女から届いた憧れの指輪の写真を、俺は指輪選びの日まで大事にしていた
コラム
憧れを叶えるつもりで温めていた1枚の写真を差し出したとき、彼女は自分の送ったメッセージを覚えていませんでした。憧れと欲しいものは、必ずしも同じではないと知りました。
彼女がショーケースの前で「これ、きれいだね」とつぶやいた声を、俺は聞こえないふりをして隣のケースを指しました。
1年前、彼女が送ってきた1枚
プロポーズの返事をもらった日から、俺は指輪選びの日を楽しみにしていました。1年前、彼女は友人の結婚式の帰りに、太めのパヴェダイヤの写真を「派手だけど、こういうの本当は憧れる」というメッセージ付きで送ってきました。
似合わないから選ばないだろうけど、憧れは持っている。そのメッセージを、俺は勝手に「本当はこれが欲しいんだろう」と読み替えていました。指輪選びの日は、その憧れを慎重に叶えたいと思っていました。
「これはどう?」と隣のケースを指した俺
店に入ってから、彼女は細身のプラチナリングに真っ先に目を留めました。俺はそれに気づいていながら、うなずくだけで返し、視線を隣の太めのケースへ向けていました。
試着した彼女の指に細身のリングはすっと馴染んで見えましたが、俺はまだ諦めきれず、太めのリングを店員さんに頼みました。「これはどう?」と差し出すと、彼女は困ったような顔で試着し、「ちょっと大きすぎるかも」と返しました。予想と違う反応でした。
それでも俺は、似た系統のリングをもう1つ頼みました。叶えてあげたい気持ちが先走って、彼女の声を聞き取れなくなっていました。
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「もう少し他のも見よう」の裏側























