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10年分のコレクションを夫に売られた私が見た物

コラム

「悪かった」と夫は言いました。けれど私が悔しかったのは、学生時代から並べてきたあの子たちが、1つ1つ知らない誰かのもとに送られていくその現実でした。

帰宅した私を待っていたのは、クローゼットにあったはずの段ボール箱の、蓋だけでした。

「片付けたよ」と夫は言った

テーブルには夫のスマホがあり、画面には、私が長く手元に置いてきたぬいぐるみやフィギュアの写真が、フリマアプリの商品ページになって1つずつ並んでいます。「片付けたよ、いくらか稼げそう」。夫は誇らしげでした。「これ、私の大事なコレクションだよ」。自分の声が、自分でも硬く聞こえました。「使ってないだろ、もう」。あの箱は、就職して1人暮らしを始めた時から、引っ越しのたびに一番に運んだ箱でした。もう10年、私と一緒にいた子たち。夫の目には、あの箱は埃をかぶった置物にしか見えなかったのだと理解しました。

空になった段ボール箱の場所

夫がスマホを片付けた後、私はもう一度クローゼットを開けました。上段の左端、いつもある段ボール箱の場所には何もありません。段ボール箱1つぶんの空白が、こちらを見返していました。テーブルに置かれた夫のスマホを手に取り、フリマアプリを開くと、出品数は数十件で、そのうち半数近くが既に購入されていました。「取引メッセージ」の欄には、購入者からのお礼が並んでいます。「探していたシリーズです、嬉しいです」。売られた側の悲しみと、買った側の喜びが、同じ画面で交差していました。私はスマホを伏せて、夫の隣に座り直しました。「1つ1つ思い出があるの」。

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