「今日も先に帰るね」自転車に乗れないことを隠し、公園を急いで出た私

コラム

「じゃあ、一緒に練習しよ」隠していたことを知られた広場の隅で、彼女はそう言ってくれました。先に帰る理由は、その日からなくなっていきました。

マンションの駐輪場の奥には、サドルの高さを一度も変えていない私の自転車が停めてありました。

乗れないまま大人になって

子どもの頃に練習する機会をなくしたまま、私は自転車に乗れずにいました。息子の園のママ友たちは、降園後に近くの公園へ集まります。皆は自転車、私だけが歩きでした。

帰りは息子の足に合わせるとどうしても長くなります。だから、たっぷり遊ばせたあと、疲れてぐずる前にと決めた頃合いで、誰より先に公園を出るのが習慣になっていました。

「ごめん、今日も先に帰るね」

仕事帰りに駆けつけてくる彼女とは、なぜかいつもすれ違いになりました。息子の限界と、彼女の到着が、ちょうど重なってしまうのです。

「ごめん、今日も先に帰るね」

そう告げるたび、胸の内で言い訳を重ねていました。本当は残っておしゃべりしたいのに、乗れないと打ち明けて笑われるのが怖くて、歩きの帰りが長いからとも言えずにいました。

彼女がお茶に誘ってくれた日も、「ごめん」とだけ言って背を向けました。彼女の顔が曇るのに気づいていながら、乗れないという一言をどうしても出せずにいました。

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