「怖い課長」だと思っていた私、退職届を書いた休日、コインランドリーで会った相手

コラム

会社では厳しい言葉しか聞いたことのない課長が、休日のコインランドリーにいました。退職届を机に置いたままの私は、その場で初めて、自分が受け取っていた言葉の意味を聞くことになります。

洗剤の箱を抱えて入った先にいたのは、見慣れたスーツ姿とは違う課長でした。

削られた企画書

営業課に来て3年目になります。私は課長のことを、心の中で「怖い人」だと思っていました。会議で企画書を出したときも、返ってきたのは、「結論だけでいい。あとは削って」という言葉だけでした。

席へ戻り、企画書を最初から見直しました。でも、どこまで削ればいいのか分からず、自分が考えた内容そのものを否定されたように感じました。

課長は仕事ができて、迷うこともない人に見えていました。自分とは違う。そう考えるうちに、向いていないのは自分のほうだと思うようになりました。

家では退職届の書き方まで調べ、清書した紙を机の上に置いていました。

休日に見た課長

休みの日、洗剤を持って近所のコインランドリーへ行きました。戸を開けると、乾燥機の前に見覚えのある人がいました。眼鏡をかけ、首元の伸びたスウェットを着ています。

「課長ですよね」

そう言うと、課長は少し困ったように、

「見なかったことにしてくれる?」

と返しました。さらに、「家の洗濯機が壊れただけだから」と続けます。会社では迷わず指示を出す人が、自分の服装を気にして説明している。その姿が意外でした。

私は帰るきっかけを逃して、少し離れた椅子に座りました。

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