
毎年書いていた母への手紙をAIに任せた俺、「母さんへ」の1語で止まった母
コラム
呼んだことのない呼び方
俺は母を「かあちゃん」としか呼んだことがありません。便箋の最初に書かれているのは、これまで一度も使ったことのない「母さん」という呼び方でした。
AIが作った文章を書き写したとき、俺はそこにも違和感を持ちませんでした。母は先を読み上げないまま、便箋をたたみました。
「ありがとう。大事にするね」
俺は「うん」とだけ返しました。打ち明けることもできたのに、その場では言えませんでした。母は棚の上から古い菓子箱を下ろし、今回の封筒をその中へしまいました。隙間からは、昔書いたものらしい便箋が何枚も見えました。
そして...
帰りの電車に乗る前、俺は駅の売店で便箋を買いました。座席で広げ、最初に書いたのは
「かあちゃんへ」
その先は、すぐには続きませんでした。それでも今度は、自分で考えて最後まで書くつもりです。うまくまとまらなくても、母が待っていたのは、俺が考えて書いた言葉だったのだと思います。
(20代男性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)


























