
「母さんへ」の1語で読むのをやめた私、息子の手紙を古い菓子箱へしまった理由
コラム
いつもの息子の手紙とは違う。そう感じたのは、最初の呼びかけを声に出したときでした。それでも私は何も聞かず、便箋をたたんで封筒へ戻しました。
封を切る前から、息子はソファに座ってこちらを見ていました。
手紙を頼み続けてきた
息子が家を出てから、私は帰省が近づくたびに「今年も手紙、書いてね」と頼んできました。電話でもチャットでも話せます。それでも、手紙だけは続けてもらっていました。
棚に置いてある古い菓子箱には、小学生のころから息子が書いてくれた手紙が入っています。私が読み返すのは、きれいに書けた文章だけではありません。消して書き直した跡や、途中から文字が小さくなったところ。何を書こうか迷ったことが分かる部分を見つけると、そのときの息子の姿まで思い出せました。
だから、毎年頼んでしまっていたのだと思います。
最初の言葉で感じた違和感
今年の封筒も、居間で受け取りました。
「読み上げてもいい?」
そう聞くと、息子はうなずきました。便箋を開き、最初の言葉を読みました。
「母さんへ」
そこで、いつもの手紙とは違うと感じました。息子は昔から、私を「かあちゃん」と呼びます。小学生のころの手紙も、去年も同じでした。
文章もきれいにまとまっていました。でも、誰かに書いてもらったものなのか、何かを参考にしたのかまでは分かりません。分かったのは、いつも息子が書く手紙とは少し違うということだけでした。
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聞かなかった理由
























