「母さんに教わってきてよ」と通った義母の台所で、私が最後に教わったのは煮物ではありません

コラム

義母は計量スプーンを使わず、出来上がった煮物の味も見ませんでした。3度目に通った日、鍋を見たままの義母が口にしたのは、作り方の話ではなかったのです。

夫に言われて、義母の台所へ通うことにしました

結婚して4年、私の作る煮物について夫が口にするのは、味が薄いという1点でした。ある日、

「母さんに教わってきてよ」

と言われたのです。その言い方に腹が立たなかったわけではありません。ただ、私の実家が薄味だったという話をしたところで、この件は終わらないとも思いました。断る理由を並べるより、教わってしまうほうが早かったのです。連絡すると義母はすぐに承知して、月に1度、実家の台所に立たせてもらうことになりました。エプロンは義母のものを借りました。

量らない砂糖と、味を見ない義母

義母は計量スプーンを出しません。鍋のふちから砂糖を落とし、醤油を回し入れ、それきり味を見ないのです。私が分量を控えると、横から足されました。出来上がったものは、私が家で作る煮物より2段階ほど濃い味です。夫が育った味というのは、この濃さのことだったのだと分かりました。砂糖は袋のまま台に置かれ、量が減っても継ぎ足されません。義母の手は、鍋のふちのどこから落とすかだけが毎回そろっていました。ノートに書き取れたのは、材料の名前と、火から下ろすまでの順番だけです。

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