
先生からもらったお礼状の見本を、僕は宛名だけ変えて母に送りました
ライフスタイル
既読のまま止まった画面
送ってすぐに既読がつきました。それきり、画面は動きません。母は今ごろ、休憩室で笑っているのだろうか。見本を貼りつけた文がふざけて見えることは、送る前からわかっていました。取り消しの長押しに指を置いたまま、待ちました。裏口の前を配達の車が2台通り過ぎても、返事は届きませんでした。やっと届いた返事は、敬語ではありませんでした。「お礼状の練習だと思って、笑いかけました。ごめん。ぜんぶ読みました。お弁当は、明日からも作ります」。ふざけたと思われたのは、当たっていました。文の形は借り物です。自分で打ったのは、消したくなった終わりの文だけでした。「はい」と返して、少し考えて、もう1通打ちました。「明日は、僕が卵を焼きます」。
そして...
卵焼きは、形がそろいませんでした。母は何も言わずに、弁当箱の隅に入れました。今も、口を開けば先に「別に」が出ます。それでも、母からのメッセージには、短くても返しています。お礼状の見本は、机の引き出しにまだ入れてあります。
(10代男性・中学生)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)




























