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嫁が「桃と和牛が嫌い」と言ったから毎月送り続けている。あの子の困った顔を想像するだけで気分がいい

コラム

お盆に見た、引っかかる顔

お盆の食卓に桃を出したのは仕上げのつもりでした。目の前で「あなたは食べられないわよね」と言って、困らせてやりたかった。あの子は「少しだけ」と一切れ口にしました。

そのとき、少しだけ想定と違うことが起きたのです。あの子が桃を食べた瞬間、ほんの一瞬だけ、顔が緩みました。目が柔らかくなって、口元がふっとほどけて。すぐに表情を戻しましたが、私は見逃しませんでした。

「桃、おいしそうに食べるのね」と言うと、あの子は「嫌いでも少しなら大丈夫なんです」と微笑みました。よくできた返事です。でも、あの一瞬の顔が頭から離れません。

そして...

考えすぎでしょう。たまたまおいしかっただけ。嫌いなものでもおいしいと感じることはある。そう自分に言い聞かせて、翌月も桃を送りました。

でも最近、ふと思うことがあるのです。毎月届く荷物に、あの子が少しも困っていなかったとしたら。むしろ喜んでいたとしたら。高い桃を取り寄せ、丁寧に梱包し、送料を払い、電話で嫌味を言って、それで満足しているのは私だけだったとしたら。

いえ、そんなはずはありません。あの子は確かに「桃と和牛が嫌い」と言いました。来月も送ります。あの子を困らせるために。きっと、困っているはずだから。

(60代女性・専業主婦)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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