
『花火大会行かない?』『混むから嫌』省エネ彼氏のベランダで見た花火と、用意されていたもの
コラム
私たちは付き合って2年になるカップルです。私はイベントごとが好きで、夏が来るたびに花火大会や夏祭りを楽しみにしてきました。彼氏は対照的に人混みが苦手で、できるだけ家で過ごしたいタイプです。ところが、ある夏の花火大会の話で、私は彼の意外な一面を知ることになりました。
2往復で終わったメッセージ
日曜の昼下がり、私はソファでスマホを開き、彼にメッセージを送りました。今年こそは浴衣を着て、屋台で何か食べて、川沿いで花火を見上げたい。
「花火大会行かない?」そんな気持ちを込めた誘いでした。
「混むから嫌」返事は5分もしないうちに届きました。それだけでした。短い返信を見つめながら、思わず画面に向かって「えっ」と声が出てしまいました。食い下がるのは負けた気がしてためらいましたが、それでも諦めきれずに打ち直して「花火見たいんだけど」と送信しました。「ベランダから見える」ひとことだけの返信でした。
私はスマホを置いて、ため息をつきました。「行きたくない」とか「人混みが疲れる」とか、もう少し言葉を尽くしてくれる余地はなかったのかと、しばらく天井を見上げていました。
浴衣を出すかどうか迷った数日間
それから数日間、何度かクローゼットの前で立ち止まりました。去年の夏に買った浴衣は、まだ袖を通していません。一緒に花火を見るのが嫌なわけじゃない、ただ場所が彼の家のベランダなら、浴衣まで着ていくのは大げさかもしれない。そんな迷いがありました。
それでも当日の朝、私は浴衣を出して着ることにしました。せっかくの花火大会の日です。場所がどこであれ、自分の中で「特別な日」にしたかった。帯を結びながら、屋台で食べたかった焼きそばや、お祭りの空気を思い浮かべて、少し寂しい気持ちになりました。
鏡の前で何度か帯の位置を直して、家を出ました。彼の家までの道のりで、すれ違う浴衣姿の人たちが少し羨ましく見えました。
次のページへ
玄関を開けた彼が見せた顔
























