
『花火大会行かない?』『混むから嫌』省エネ彼氏のベランダで見た花火と、用意されていたもの
コラム
玄関を開けた彼が見せた顔
彼の家のチャイムを鳴らすと、すぐにドアが開きました。私の顔を見た彼は一瞬目を見開いて、それから「うん、似合ってる」とひとこと、ぶっきらぼうに言いました。
リビングに通されて、私は思わず立ち止まりました。テーブルにはコンビニとは違うパックの焼きそばと、枝豆が並んでいたのです。冷蔵庫を開けた彼が「焼きそばあるよ。あと、ラムネ冷やしておいた」と言って、瓶を取り出しました。 「混むから嫌」と言ったあの返信からは想像できない準備でした。屋台じゃないし、お祭りの賑やかさもない。それでも、人混みを避けることしか頭にないと思っていた彼が、こんなふうに私のことを考えてくれていたのだと、ようやく腑に落ちる気がしました。
そして...
ベランダに出ると、遠くの空に花火が打ち上がりました。彼が冷やしてくれたラムネを片手に、二人並んで見上げる花火は、川沿いで見るのとは違う、けれど確かに夏の景色でした。 あのメッセージのやりとりだけを思い出すと、今でも少しだけ悔しさが残ります。「ベランダから見える」のひとことで終わらせず、もう少し気持ちを伝えてくれてもよかったのに。それでも、彼が彼なりの形で夏を迎えてくれたことは、今年の私の中に確かに残りそうです。 来年こそは屋台で焼きそばを食べたい。そんなお願いは、また次の夏に取っておこうと思います。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)


























