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新築のシングルマザー宅を陰で噂し続けた私が、町内会で本人の口から聞いた現実

コラム

町内会で投げかけた、あの質問

 月例会の日、私は思い切って本人に尋ねてみることにしました。みんなも知りたがっている、代表して聞いてあげようくらいの、軽い気持ちでした。

「ちょっと聞きづらいんですけど、お仕事は何をされているんですか?」

すると彼女は、手元の資料をそっと置いて、私のほうに向き直りました。「ITのコンサルタントをしています。在宅で、自分で会社をやっているんです」。取引先の名前を聞いたとき、私は耳を疑いました。誰もが名前を知っている大手企業ばかりだったのです。

続けて彼女は、こう言いました。「夫が遺してくれた保険金には、手をつけていないんです。あれは、娘の進学のために残してあるので。今の暮らしは、すべて私の仕事のお金で成り立っています」

集会所の中の空気が、変わりました。

そして…

 帰り道、私はずっとうつむいていました。自分が、こんなにも浅はかな決めつけをしていたなんて。彼女は黙々と仕事をして、娘さんを育てて、亡くなったご主人の遺してくれたものまで守って暮らしていたのです。それを「裏がある」と言って噂していたのは、ほかでもない私自身でした。

翌日、彼女の家のインターホンを押して、頭を下げました。彼女は「気にしていませんから」と微笑んでくれました。その穏やかさが、かえって自分の小ささを突きつけてくるようでした。

私たちが「裏」だと決めつけたものの正体は、彼女が積み上げてきた努力でした。その事実を、私はずっと忘れずにいようと思います。

(40代女性・専業主婦)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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