おしゃれと恋で もっとかわいく - ハウコレ
SP用検索ボタン
メニューはこちら

10年前「あんたの成績じゃ推薦は出せない」と告げてしまった教え子→同窓会で渡された名刺を見た私

コラム

私は地方の県立高校で進路指導を担当する、教師です。この仕事を始めて25年、何百人もの生徒を送り出してきました。けれど、ある教え子のことだけは、長く頭の奥に引っかかったままでした。

あの冬の進路指導室

10年前の冬、私は進路指導室で、ある女子生徒の指定校推薦の相談を受けていました。中堅私大の英文科を希望していましたが、彼女の成績では推薦枠に入る可能性はほとんどありませんでした。

「あんたの成績じゃ推薦は出せない」

私は事実をそのまま伝えました。続けて「英文科なんて、もっと真面目に勉強してきた子たちが行くところ」と口にしてしまったことは、今もはっきり覚えています。

彼女は何も言わず、進路指導室を出ていきました。後ろ姿だけがやけに小さく見えたのを、覚えています。

忘れたつもりだったひとこと

彼女は結局、一般入試でその志望校に合格しました。卒業式のあと、彼女と話す機会はないまま、私の手を離れていきました。

長く教師をしていると、自分の言葉に救われたという生徒もいれば、傷ついたという生徒もいます。あの日の私の言葉は、後者だったかもしれない。そう思いながらも、日々の仕事に追われて、彼女のことは記憶の奥にしまい込んでいました。

それでもふとした夜に、あの後ろ姿が浮かぶことが、年に一度はありました。

  • X
  • Line