
「ごはん作らないの?共働きだから?」嫌味な親戚を黙らせた、夫の『自作レシピノート』
コラム
付箋だらけのページに、私の知らない3年があった
「これ、俺が書いてるレシピノートなんです」
夫が穏やかな声でそう言いました。ノートには付箋が何十枚も貼られ、ページは書き込みでびっしりと埋まっていました。豚の生姜焼き、味噌汁の合わせ方、煮物の火加減。日付と一緒に、丁寧な字でレシピが並んでいたのです。
「妻が忙しい日は俺が作るんで、勝手にメモして増やしてるんですよ」
伯母は少しの間、ノートの表紙に目を落としてから、「あら……そう」とだけ言って湯呑みを口に運びました。私は、夫の手元のページから目を離すことができませんでした。
そして…
会食を終えて、帰りの電車に揺られながら、私は夫に聞きました。「あのノート、いつから書いてたの?」夫はしばらくして「結婚した時から少しずつ」と答えました。続けて、こう言ったのです。「昔から、お母さんが伯母さんに同じこと言われるのをずっと見てて、何もできなかったから」窓の外を流れる景色を見ながら、夫の言葉を心の中で何度も繰り返しました。
今日の伯母の言葉に、夫はとっさに動いたのではなく、ずっと前から準備していたのだと知りました。私が知っていたのは、3年分の結婚生活だけです。けれど夫のあのノートには、夫がうつむいていた時間まで、そっと挟まれているような気がしました。
(30代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)




























