
好きな子の差し入れだけ、わざと名前を言わずに配った僕の言い訳
コラム
うつむく背中
配り終えてふと振り返ると、彼女は給湯室で空になった箱を片づけていました。さっきまでの表情とは違って、どこか元気がないように見えました。僕が名前を呼ばなかったことに、気づいていたのだと思います。守ったつもりでした。でも、彼女が本当はどうしてほしかったのか、僕は一度も聞いていませんでした。勝手に良かれと判断して、その実、自分の弱さも一緒に守っていただけなのかもしれません。
そして...
あのとき声をかけて、きちんと説明すればよかったのだと思います。でも、片づける背中に「さっきはごめん」と言うタイミングを、僕は逃してしまいました。次に彼女が差し入れを持ってきたら、今度はちゃんと名前を呼ぼうと思います。「これ、彼女が作ってくれたお菓子だよ」と。そしてできれば、隠していた気持ちも、自分の言葉で伝えたい。臆病な自分を変えるのは、たぶんそこからなのだと思っています。
(20代男性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)


























