
彼女と選んだオリーブが枯れかけていた。理由も言えずに隅へ移した僕が、本当に伝えたかったこと
コラム
言えなかった一言
そんなある日、彼女に聞かれたました。「あのオリーブ、どうして隅に動かしたの?」。本当は、枯れかけていたこと、なんとか守りたかったことを話すべきでした。けれど、鉢にそこまで思い入れている自分を打ち明けるのが照れくさくて、口から出たのは「ああ、あっちのほうがいいと思って」という、そっけない一言だけでした。画面に向かったまま、彼女が小さく息をのんだ気配だけが伝わってきました。違うんだと言いたくて、けれど僕は顔を上げられませんでした。一人で抱えて黙ってしまうのは、僕の悪いところです。
そして...
僕は彼女をベランダに呼び、枝の先に出た小さな芽を指さして言いました。「前の場所だと、葉っぱが焼けてたんだ。こっちのほうが元気になると思って」。たったそれだけのことを、どうして最初に言えなかったのだろうと思います。鉢を守るより先に、その気持ちを彼女に話すべきだったのです。黙って抱え込むより、これからは下手でも言葉にしていきたい。新しい芽を二人で見つめながら、僕はそう心に決めました。
(30代男性・システムエンジニア)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)


























