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『言わないこと』をリストにして溜め込んでいた僕。彼女に見つかって気づいたこと

コラム

言いかけた小言を、その場で飲み込みました。代わりに、スマホのメモに一行だけ書き足します。そうやって自分の中に溜めていく習慣が、いつしか僕の日課になっていました。彼女には、決して見せるつもりのなかったものです。

飲み込むことを覚えた理由

小言を言いかけて、ぐっと飲み込む。それが癖になったのは、彼女と暮らし始めてからでした。皿が流しに残っていても、休みの過ごし方が噛み合わなくても、口に出す前に一度立ち止まる。言いたいことは、スマホのメモに書いて逃がすようにしていたのです。

きっかけは、自分の父でした。父は母の些細なことをいつも言葉でとがめる人で、家の空気はいつもこわばっていました。あんなふうにはなりたくない。彼女に小言をぶつける自分を想像するたびに、僕は口を閉じることを選んできました。

『言わないこと』に並べた言葉

メモはいつしか一つのリストになり、僕はそこに『言わないこと』と名前をつけました。「皿のこと」「休日のこと」「お金のこと」「将来のこと」。彼女への不満や、言い出せない心配ごとを、短い言葉だけ並べていたのです。お金のことは、二人の貯金がなかなか増えないのが気がかりでした。将来のことは、そろそろ次の話をしたいのに切り出せずにいた弱さです。どれも彼女を責める言葉になりそうで、飲み込むことで平穏を保っているつもりでした。そのリストが二人の共有のメモに紛れていたなんて、見つかるまで気づきもしませんでした。

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