
届いた映画チケットが一枚だけ。「これ、一枚だけ?」と送るまで、私は悪い想像をしていた
コラム
彼から届いたのは、映画の電子チケットがひとつだけ。誰かと行くつもりなのか、それとも私に一人で行けということなのか。返事を待つあいだ、頭の中ではいくつもの想像がふくらんでいきました。
一名分だけのチケット
彼とは付き合って二年ほどになります。連絡はこまめなほうではなく、用件だけをぽんと送ってくることが多い人でした。
その日も、添えられていたのは「これ、とっておいて」というひとことと、映画の電子チケットだけ。リンクを開くと、チケットは座席番号がひとつ。どう見ても一名分でした。
私が前から観たいと話していた作品で、彼が覚えていてくれたのは嬉しい。でも、なぜ一枚なのか。送り先が私ということは、私に行けということなのか。それとも、自分のぶんを間違えて送ってきたのか。考えるほど、わからなくなっていきました。
ふくらんでいく想像
画面を見つめたまま、私はいくつもの場面を思い浮かべていました。彼が誰か別の人と行く約束をしていて、自分のチケットだけ手元に残すつもりが、間違えて私に送ったのではないか。
あるいは、私を誘うのが面倒で、一人で観てきていいよという意味なのか。普段から、彼は説明をしない人です。理由を言わずに行動だけが先にくる。そのたびに、私は勝手にあれこれ想像して、勝手に落ち込んできました。
今回もまた、同じことをしている自分がいました。聞けばいいだけなのに、聞いて嫌な答えが返ってくるのが怖くて、入力欄にカーソルだけが点滅していました。
次のページへ
ためらいの末に送ったひとこと

























