
「すぐ返すから」と言った僕が、あの傘をずっと返せなかった→口に出せない理由がありました
コラム
遠回りでも、自分の足で取りに行くしかありませんでした
このまま待っていても変わらない。そう思い直して、僕は後輩の部署まで直接取りに行きました。後輩は「わざわざすみません」と恐縮しながら、その場で淡い水色の傘を返してくれました。
手元に戻った傘を見ていると、口実にしがみついていた自分が情けなくなりました。借りたものは、自分の手で守りきらなければいけなかった。傘があるから話せるのではない。話したいのなら、ちゃんと返したうえで、自分の言葉で伝えればいい。そう、やっと思えました。
そして…
それから、僕はようやくあの傘を返しに行きました。「これ、ずっと借りたままでごめん。本当に助かったよ」。彼女は「ううん、気にしないで」と軽く笑ってくれました。
本当は、この傘がどんな道のりで戻ってきたか、なぜすぐ返せなかったのか、全部伝えたかった。「あのさ、」とまで言って、けれどその先が続きませんでした。結局僕は「いや、ありがとう。それだけ」と、いちばん言いたいことから逃げてしまいました。
次に雨が降ったら、今度こそ自分の言葉で声をかけよう。たたんだ傘を見るたび、僕はそう心に決めています。
(30代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)




























