おしゃれと恋で もっとかわいく - ハウコレ
SP用検索ボタン
メニューはこちら

「一緒に観ない?」を何度も断った僕は、ひとりであのページを開いていた

コラム

あの映画に彼女がこだわる理由を、僕はレビューの中で探していました。

答えらしきものは見つかったのに、彼女にはそのことを一言も伝えられないまま日が過ぎていきます。彼女がイヤホンを両耳につけたのは、隣に僕がいる部屋で映画を観るためでした。

リモコンを受け取らなかった理由

付き合う前から彼女が映画好きなのは知っていました。「一緒に観ない?」と差し出されるリモコンに、僕はいつも「興味ない」と返していました。2時間座って物語を追い続けることが、退屈以外の何でもなかったからです。映画の中で誰かが泣いたり怒ったりしている横で、自分は何をしていればいいのかわかりませんでした。彼女がその作品をどれだけ好きか、どの場面で何を感じているのか、考えてみたことすらなかったのだと思います。リモコンを受け取る代わりに、僕はいつもタブレットを手に取っていました。

正直でいれば正しいと思っていた

「たまにはこっちに合わせてくれてもいいのに」と言われたとき、「無理して合わせても意味なくない?」と返しました。楽しくないものを楽しいふりをするほうが不誠実だと、そう信じていたのです。でも彼女の声が少しだけ低くなったことには気づいていました。テレビが消え、台所の冷蔵庫が開いて閉まる音がして、それきり何も聞こえなくなりました。それでも「正直なだけだ」と自分に言い聞かせて、タブレットに視線を戻しました。彼女が求めていたのは、映画を楽しむことではなく、隣に座って同じものを見ることだったのかもしれません。そのことに気づいたのは、彼女がイヤホンをつけ始めてからでした。

HOT ITEM
  • X
  • Line