
得意げに話していた俺に、彼女がスマホで見せた数十秒の広告の意味
コラム
減っていく残り秒数を見つめながら、飛ばせないのは広告ではなく、俺の話のほうだったのだと気づきました。
テーブル越しに差し出されたスマホの画面には、2人でよく見ている料理の動画が映っていました。
共感のつもりだった
彼女の話に自分の経験を重ねるのは、俺なりの聞き方でした。営業の現場で覚えた、相手との共通点を早く見つける癖が、そのまま彼女との会話にも出ていたのだと思います。「で、俺の場合はさ」が口癖になっている自覚はありませんでした。彼女はいつも最後までうなずいて聞いてくれるので、会話は成立していると思い込んでいました。
フォークを置いた彼女
その日、彼女は「実はね、面談で」と話し始めました。いい報告の予感がして、俺は「で、俺の場合はさ」と、自分が後輩を指導したときの話を持ち出しました。参考になると思ったからです。職場の人間関係までひと通り話し終えたころには、運ばれてきたパスタはもう冷めていました。彼女がフォークを置いたのが、視界の端に見えました。彼女はかばんからスマホを出し、動画アプリを開いて、画面をこちらに向けました。
「ちょっとこれ、見て」
次のページへ
数十秒のカウントダウン
























